日本でも70万人ほどの推定患者がいると言われる化学物質過敏症。
テレビで取り上げられることもあり、関連書籍も増えているようです。
食べ物のアレルギーは反応がすぐ出る場合が多いので比較的わかりやすいですが、化学物質過敏症は触れる期間が長くなるにつ入れて徐々に重症化していくのが怖いところ。
結論からいうと、エステティックサロンで治療はできません。ただ、肌に触れるものを扱う以上無関係ではありませんのでエステティシャンも知っておくべき情報です。
今回は化学物質過敏症の概要と、エステティックサロンができること、気をつけられることについて記していきます。
Contents
化学物質過敏症とは?
化学物質過敏症(かがくぶっしつかびんしょう)とは、非常に微量の薬物や化学物質(主に揮発性有機化合物)の曝露であっても健康被害が引き起こされるとする疾病概念。人体の薬物や化学物質に対する許容量を一定以上超えると引き起こされるとされており、個人差が大きいといわれる。化学物質の摂取許容量と同様に、発症原因および症状、その進行・回復速度や度合いも多種多様であるといわれる。 本態性環境不耐症とも呼ばれる。(Wikipediaより)
1950年代にアメリカの医師より存在が提唱されるようになり、研究が進められています。
日本でも2010年には化学物質過敏症による運動障害を引き起こした男性が労災認定されました。
症状
・粘膜刺激症状
(結膜炎、鼻炎、皮膚炎、喘息など)
・循環器症状
(動悸、不整脈など)
・消化器系症状
(下痢、便秘など)
・自律神経障害
(異常な発汗、末端の冷え、疲労感など)
・精神症状
(不眠、不安、鬱、記憶困難など)
・中枢神経障害
(痙攣、頭痛、光過敏など)
・運動機能障害
・意識障害
化学物質過敏症の症状は多岐にわたるため、症状を医師に訴えても正しく診断してもらえないこともあるようです。
近年増加している自律神経失調症や鬱などは化学物質が影響しているのではないかという見解もある中、まだ化学物質との明確な因果関係が証明されていないのが現実でもあります。
人の身体と心は密接に関係しているので、『化学物質は悪いものだ!』という考えによって症状が発現するのではないか?(プラシーボ効果)という声も。
『明確な証拠はない』中、あなたは化学物質が与える影響についてどう考えますか?
化学物質過敏症の改善方法
私は化学物質による過敏症状は少なからずあると思っています。
身近なものだと洗濯洗剤で、市販の洗濯洗剤で洗った下着を身につけるとかぶれを起こします。靴下でもかゆくなるのでゴムによる締め付けも関係あると思います。
症状としては重くなく、日常生活に支障をきたすものではありませんがもともとアトピーであったり、外からの刺激に反応しやすい方の場合は重症化しやすいのではないでしょうか。
では、治療方法はあるのでしょうか?結論からいうと、明確な治療法は確立されていないそうです。
基本的には早期に診断され、治療をはじめられるのがベスト。処方された薬を飲んでよくなる!というものでもなく、日常生活でいかに対策できるかが化学物質過敏症を発症させないポイントであり、症状を軽くするためにも重要です。
・原因となる化学物質との接触を避ける
・接触が避けられなければ濃度を下げる
・吸収した化学物質を排出するための行動をする
原因となる化学物質との接触を避ける
先ほど挙げた洗濯洗剤はもちろん、食べ物や消臭剤、殺虫剤等も影響します。
発症した方はもろに症状が出てしまうそうですが、発症の引き金になりますので予防のためにも極力避けたいところ。
接触が避けられなければ濃度を下げる
全てを避けられればいいのですが、現代の日本に化学物質のない環境はほぼ存在しません。
たとえば引っ越したばかりの部屋、新築の家など。建材が要因になる可能性がありますが、じゃあすぐに引っ越せるのか?というとそうとは限りませんよね…
症状の重さにもよるのですぐに出なくてはならない場合もありますが、予防の範囲であれば住居以外の化学物質を極力排除するようにしてみましょう。
吸収した化学物質を排出するための行動をする
化学物質の存在しない環境が限られている以上、体内に吸収してしまった化学物質を排出するのも大切です。
◆規則正しい生活をする
・バランス良い食生活をする
・睡眠をしっかりとる
・入浴、サウナなどで汗を流す
・運動をして汗をかく
・趣味を楽しみリフレッシュする
意識していないとつい『溜めこみやすい』生活をしてしまいがち。
健康的な生活をすることで、結果的に化学物質も排出しやすくなります。
エステティックサロンで出来ること
前述の通り、エステティックサロンで治療をすることはできません。もちろん診断もです。
ただ、エステティックサロンに来られる方は疲れていたり、心も身体もデリケートな状態になっていることが多いので、そういったお客様のために心からリラックスできる環境を作れるといいですよね。
ここではエステティックサロンですぐに取りかかれそうなことについて挙げていきます。
・商材選び
・洗濯洗剤に気を遣う
・香りのきつくない柔軟剤選び
・食器洗剤にも気をつけたい
・アロマと香料のきついスプレーは違う
商材選び
ここを気にしないオーナーはいないと思うのですが…
アレルギー反応を起こしやすい、刺激の強い商材を使っているサロンは少ないと思いますが、化学物質が入っている商材は避けたいですね。
洗濯洗剤に気を遣う
リネンやタオルももお肌に触れるので要注意。オイルを落としたいから洗浄力が強い洗剤を…という気持ちはわかりますが、洗浄力の強い洗濯洗剤、白くなる成分が入っている洗剤は往々にして洗剤が繊維に残ります。
それがお肌に触れることでトラブルを生み出すことも少なくないので、価格や洗浄力で安易に洗剤を選ばないようにしましょう。
香りのきつくない柔軟剤選び
最近、香害とも呼ばれる香水などに反応してしまう方も増えています。
エステティックサロンの場合、洗濯してしっかり乾かせる環境が用意できないお店もあるので、生乾きの臭いにならないように化学の力に頼りたくなる気持ちもわかるのですが…美を提供している以上、人工的な香料も避けたいところです。
食器洗剤にも気をつけたい
お客様にお出しするカップはもちろん、エステの施術で使う器材は何で洗っていますか?
化学物質過敏症の方はもちろんですが、アトピーや敏感肌の方は日常生活から化学物質を避けるように気をつけていることも多いです。
いくら商材に気を遣っても、施術で使うスポンジパフや小分け容器などを合成洗剤で洗っていたら…キレイにしているつもりでダメージを与えることになりかねません。
おわりに
日常生活に化学物質はしっかり浸透しているので、気を遣っても切っても切り離せないのが現実。
ただ、神経質になりすぎても逆効果かな…とも個人的には思います。防げるところは防ぎ、予防や悪化させないようにしたいですね。
また、日本だけで既に推定患者が70万人いて、子どもにも発症事例が増えているようなので、化学物質過敏症対策の提案ができるエステティックサロンは喜ばれるのではないでしょうか。サロン内で気をつけていることを打ち出したり、家族で安心して使える製品を取り扱ったりするのは時代に即していると思います。
ただ、そういった知識のないお客様に、いきなり化学物質過敏症の話を長々として「化学物質は使わないでください!」なんて言うと警戒されてしまうので、伝え方には心配りが必要です。