美容業界全体で痛手となっているサロン専売であるはずの化粧品が転売されている問題。
先日、ついにネット販売から書類送検される人が現れました。
これはまじめに運営しているオーナーからすればうれしいニュースではないでしょうか。逆に、実際にネット販売している場合は内心穏やかではないと思います。
転売の是非についてですが、基本的に『非』だと思っています。詳しくは後述しますが、サロンがやる場合は圧倒的にリスクが高いからです。
その理由も含めてサロン専売品の転売について説明をしておりますので、転売を考えている方、転売をすでにしている方はよかったら読んでみてください。
(タイトルではミルボン事件と短縮してしまっていますが、事件を起こしたのは取引先でありメーカー側の非があるわけではありません)
この記事では、
・転売パターン
・転売はバレるのか?
・バレた場合どうなるのか?
・ミルボンは転売で逮捕されたわけではない
について取り上げています。
転売、ネット販売は消費者にとっては手軽に購入できるという利点がありますが、適正に販売されていない製品の場合模倣品や粗悪品をつかまされても保証が効かないというリスクがあります。成分濃度が高く、高機能の製品であればお肌に合わないものを自己判断で購入し、肌トラブルを起こす可能性も。
サロン側としては接客しているお客様がネット購入に流れてしまうことで直接売り上げに響きます。それだけでなく、ネットで購入した製品のフォローを求められるという憂き目に遭うことも…お客様に悪気がない分断り切れないかもしれませんが、質のわからない製品の責任は持たない方がいいですよ。
メーカーは想定していない流通方法で消費者の手に渡ることで正しい使い方をしてもらえなかったり、契約に違反した取引先があることで真面目に運営している取引先からの不満を受けることになったり…ネットで買える=手軽=ブランドイメージが低下するというダメージを負います。
Contents
ネット販売、誰が一番損をする?
ネット販売が拡大することで誰が一番損をするのかというと、短期的にはサロンです。
サロンに入るはずだった売り上げをネット業者がかっさらっているわけなので…。
ではメーカーはどうかというと、特別損はしません。卸し先が変わるだけで、売れる本数は変わらないからです。むしろネット流通の方が多く売れるので、売れた方がメーカーとしての売り上げは上がりますよね。
ただ、これが常態化するとどうでしょうか。サロンで購入する人がいなくなっていきますよね。業界での競争力が落ち、取引先が減り、ブランドイメージも下がり、長期的にはメーカーが受けるダメージが計り知れなくなっていきます。
サロン側でメーカーに取り締まりを申し出て、動いてくれているようであればこのあたりがわかっているということなので、ちゃんとしたメーカーだと安心していいと思います。
逆にメーカー側が加担していることもあるらしいので恐ろしいですね。
転売パターン
では、転売ってどんな感じで行われているの?というところからご紹介いたします。
メルカリをはじめとしたスマホアプリ
この数年で、スマホ世代のほとんどに浸透したのではないかというフリマアプリ。メルカリ以外にも楽天が運営しているラクマなどもあります。
スマホのみで出品できることはもちろん、匿名配送ができることから手軽で送り主も書かずに済むということで気軽に利用できるのが特徴です。開封済みの化粧品もよく売られていますね…業者だけでなく消費者も多い印象です。
ヤフオクをはじめとしたオークションサイト
ヤフオクもスマホアプリがあるので手軽で、匿名配送ができます。メルカリと比べると決済手数料が安く、また予定よりも高い金額で落札される場合もあります。ヤフオクに関しては転売を生業としている業者も多いですね。
アマゾン・楽天などのショッピングサイト、サロン専売品を集めた通販サイト
プロ専門!などと謡い美容室やエステサロンにしか卸していないブランドのシャンプーやトリートメント、化粧品を集めて割引価格で販売している通販サイトです。フリマアプリやオークションはサロンから専売品を購入したエンドユーザーが不要だからと出品している場合も考えられますが、通販サイトの場合はほぼ間違いなくサロンが絡んでいます…。
なぜこのような通販サイトが存在するのか?
・通販サイトが架空のサロンを作り、メーカーと契約しているから
・通販サイトがすでに存在しているサロンに営業をかけ、メーカーと契約させて横流しを受けているから
ネット販売を禁止しているメーカーが通販サイトと契約することはあまり考えられないです。一時的に大量販売できたとしても値崩れが起きるほうがリスクだからです。
サロン専売品の価格が固定されている理由のひとつとしてあるのは取引先のサロンを守るためです。店舗の運営には様々な経費がかかりますし、サロン専売品はお客様へのカウンセリングをベースに1つ1つ大切に販売するものですよね。そういった部分も含めて卸価格と定価が設定されています。
通販サイトがなぜ安く販売できるのかというと、単純に専売品の付加価値を全部切って大量販売しているからです。
・転売はバレるのか?
結論からいうと、9割バレます。9.5割位いくかもしれません。
「大げさだなぁ~!うちは結構前からやってるけど全然バレてないよ!」って方もいるかもしれませんが、まぁまずいつかバレます。
その転売は契約違反か?
まず大前提として、契約違反をしていないか?というのがあります。
契約に違反してなければ全然問題ないですよね。ここはメーカーごとに方針があるはずなので、ネット販売も割引もOKなのであれば気にする必要はありません。やりたい場合はまず契約書の確認からしましょう。
ネット販売を禁止しているメーカーの場合は、かなり厳しく取り締まりしています。
こっそりやっていたとしても、このネット社会では必ず見つかります。というのはメーカーが見つける場合もありますが他の代理店やお客様が見つけ、営業担当を通してメーカーに伝わるので調査が入ります。
「ネット販売も安売りも禁止されているはずなのにここで安く売ってました!」よくある話です。
木に例えて、メーカーは根、卸業者は幹、サロンは枝、お客様は葉だとします。根からはじまり養分のごとく製品が運ばれていったとして、根がなければ絶対に製品は供給しませんよね。サロン専売品は市販の流通品と違って販路が限られています。メーカー側にはいくらでも手段がありますし、本気で取り締まっているところはしっかり費用をかけて対策を講じています。
個人的には製品を作り、流通させているメーカーに絶対バレずに業者が転売をするというのは絶対無理なんじゃないかな…と思っています。
バレたらどうなるのか?
転売は明確に契約書で禁止しているところが多いので、契約違反の場合は取引停止=解約は確実でしょう。
さらに損害賠償や、違約金の記載がある場合、ペナルティーも課される可能性がありますね。(契約関係は詳しくないので、実際にペナルティーを科せるのかはわかりませんが…)
メーカー側が契約違反による解約先を告知するという話は聞いたことがありませんが、今回のミルボンの話のように警察が絡んでくるとサロン名、オーナー名が実名報道されることになるのでサロン運営への影響も計り知れません。
目先の利益のためにバレないかどうかのストレスを抱えながら転売をするのは美容にもよくない気がしますね。
余談ですが、割引販売については法律で禁止できないので非推奨というレベルでしかメーカーも言えない部分ではありますが、値段を下げずに価値を販売できるのが理想ですね。
今回の事件は転売が直接の理由ではないが、転売抑止の一歩になるかも
今回の一件、はじめは転売の規模が大きかったことが理由かと思ったのですが、よく読むと製造番号を削ったことが原因なんですね。調査から逃れるための工作なはずなので、違反の自覚があってやってますよね。
ネットで安く売っていると消費者はありがたいと思うのでしょうが、同業者である真面目に運営しているサロンが苦しくなります。
サロンで5本売れる間にネットでは50本売れるとしてもメーカーが転売を取り締まろうとするのかは、先ほども書いたとおりです。ブランドイメージと製品の品質が落ちるということは、結果的に購買意欲が下がることにつながり、取引先もメーカー自身も衰退の道へ…たとえば、売れ残り在庫をネットで売っちゃえ!というのは非常に安易にできてしまうのですが、この1つの動作が全国に与える影響は非常に大きなものなのです。
まとめ
・現代は多様な転売方法がある
・サロン専売品のネット販売はバレる
・やる場合はサロンを賭ける覚悟がいる、バレたらペナルティーが待っている
サロンに転売活動の営業をもちかける転売業者は、バレてそのサロンが解約されたら他に営業をかけて新しい供給元を探すだけなので、サロンがどんなペナルティーや風評被害を受けようが知ったことじゃないという感じだと思います。転売が取り沙汰されてからの契約先は基本的に動向をマークするので徐々に発覚までのスピードも上がっています。
自分のサロンをはじめ、業界を守るためにはこういった転売業者の話に乗らないことも大切です。そして転売サイトを見つけたら、メーカーに報告して対策してもらいましょう。(メーカの良心を信じて…)
『サロン専売品をこっそりネットで販売するなら〇〇がおすすめ!』という記事も見かけますが、当然その記事を書いた方が責任を負ってくれるわけではありません。
現場サイドはサロンをオープンした時の気持ちに立ち帰り、正しい方法で繁栄をめざしていきたいですね。